2004年7月11日日曜日 社団法人日本野球機構プロ野球サンヨーオールスターゲーム第2戦

パシフィック野球連盟オールパシフィックオールセントラルセントラル野球連盟140回戦
南長野運動公園多目的競技場オリンピックスタジアム 18:00 観衆;26,963人 観戦場所;ライト外野自由席
オールセントラル
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
 
オールパシフィック
0
0
1
0
1
0
0
0
x
2
 
勝利投手
張誌家 1勝
セーブ
横山 4勝5敗3S
敗戦投手
福原忍 1敗

審判員・記録員
本塁打
球審
丹波
高橋由伸1号打点1・投手:小林宏=六回
一塁
橘高
 
二塁
川口
 
三塁
 
左翼
 
右翼
笠原
 
公式記録員
及川・
 

なんじゃそりゃ〜!新庄本盗
セ界の中心の人たち、ヒットたった3本だけ

 全パは三回に二塁打で出塁した新庄剛志が、2死三塁から本盗を決めて先制。五回は2死から新庄が左翼線二塁打、続く代打谷(オリックス)が右前打して2点目を挙げた。全セも六回、高橋由(読売)が左越えに代打ソロ本塁打したが、先発和田毅(ダイエー)以下、全パの5投手の前にわずか3安打に終わった。

 早朝6時。前夜に雨が降ったお陰で今朝は晴れ渡ってはいるがそれほど暑くは無い。たいてい雨が降る翌朝は蒸し暑いものだが…。
 携帯電話のアラーム機能で目覚める。オールスター観戦の朝。予約してある町田7時23分発の特急ロマンスカー・サポート62号に乗車するには朝一番の中山駅行きバスに乗らなくてはならない。前夜のうちに支度をしておいたのでスムーズに出かけることが出来る。
 定刻6時31分発の中山駅行相鉄バスは2分ほど遅れて到着。私のほかに地元の最寄バス停からは3名の乗客がいた。私の知らない地元の風景だ。このあとほとんどのバス停から数名のお客さんを拾ってバスは進み、中山駅到着前にはとんでもない数に膨れ上がっていた。日曜の朝ではあるが早朝便ということもあり需要はあるんだなぁと認識させられた。
 このあと、予定通りの6時57分発の八王子行き列車に乗車し町田で降車。少々時間に余裕があることから自動券売機の上に掲出されている運賃表を眺めると、町田から新宿までJRで行くと830円もかかることが判明。恐らく八王子経由で計算しているのだろうが、まさか町田からJRだけを使い新宿まで向かおうという酔狂な人は居ないだろう。ちなみに小田急で町田から新宿までは400円程度でいける。特急券を含めればJRと同等の値段になるのだが。

 町田からは7時23分発の特急サポート62号に乗車。小田急の独自システムである「ロマンスカー@クラブ」に入会しチケットレスで特急券を購入してあるので今回は紙ベースの特急券は発券されない。さすがに日曜日の朝ということもあり小田急町田駅はそれほど混雑していない。先発の綾瀬行準急をやり過ごし、続いてやってきた10000系EXE車両の2号車に乗り込む。町田を発車すると自動放送が流れてきた。列車名、行き先と次停車駅が終点であること、全席指定で特急券が必要なことを一通り告げると英語放送に切り替わる。英語放送は現在首都圏を走る自動放送が備わった列車ではすっかり御馴染みになったクリステル・チアリさんの声である。このクリステル・チアリさんのお父様は有名なクロード・チアリ氏である。
 日曜とはいえ過密ダイヤの小田急線。特急といえども登戸付近から複々線区間を走行するもどうもノロノロ運転を繰り返す。ようやく世田谷区には言った豪徳寺を7時47分に通過。さらに同48分には今にも停車しそうな速度で梅が丘を通過すると仮の工事区間に差し掛かり列車は高架を下る。左側には東京選挙区の参議院議員候補者ポスターが並んでいるのが見え、黄色い又吉イエス氏の黄色い掲示物が目立っていた。7時50分、列車が下北沢を過ぎてようやく速度を取り戻した。以前から複々線であった東北沢〜代々木上原間に差し掛かったところである。
 新宿には7時58分に到着。これだけのんびりと走行しても定刻で列車が新宿に到着するということは、複々線が完成した暁には更なる速度向上が見込めるだろう。
 トイレによりつつのんびり歩いて京王高速バスのターミナルに向かう。8時50分発の長野行きバスはどうやらまだ若干空席がある模様。8時40分にバスは3番乗り場に入線してきた。中央高速でよく見かける京王電鉄バスカラー(K60202)で車内は2+2列仕様。最後尾にはトイレが設置されている。新宿から長野までは約3時間40分。途中群馬県の横川パーキングエリアで15分間の休憩を行うとのこと。横川PAということはこのバスは上信越道を経由するということだ。てっきり京王バスのことだから中央高速経由かと考えていたが思い過ごしのようだ。、
 バスが出発し練馬区に入ったところで眠たくなってきて、次に気付くと横川パーキングエリアであった。横川も非常に良い天気では会ったが、カラッと乾燥していて心地良いさわやかさだ。隣町の軽井沢が避暑地として名を馳せているがこのさわやかさなら納得である。休憩の間に木いちごとバニラのミックスソフトクリームを頬張る。とてもおいしい♪
 停車中に乗務員さんに「長野インターバス停からオリンピックスタジアムまでは歩けますか?」と聞いてみたが「確かに見えるけど2キロ以上あるから長野駅まで乗ってそこからシャトルバスがいいかもよ」と言ってくれた。
 12時半、バスは長野駅前に到着。長野駅前は横川と同じくそれほど蒸し暑くなく適度に過ごしやすい。
 長野駅は新幹線開業をきっかけに善光寺様式の風格ある駅舎を撤去し近代的な現代建築の様式に生まれ変わっている。新幹線開業の年に長野ではオリンピックが開催されている。いまや冬季五輪が好きな人以外は忘れ去られようとしている長野オリンピックだが、長野中心部ではまだまだ五輪カラーは十分残っている。
 宿泊予定のホテルへ荷物を預けて球場に向かう。駅構内ではオリックスと大阪近鉄の合併と急激な球界再編に反対する人たちが署名を集めている。改札口周辺にもオールスターゲームの告知が懸垂されている。
 改札口の時刻表を見ると12時43分発の快速小諸行きが直近の列車なので乗ることにする。小諸は長野新幹線が開業した際に平行在来線の経営分離が出来る法案によって初めてJRから切り離されたしなの鉄道の駅。私はそのしなの鉄道に入る前の篠ノ井で降車する予定。車両は当然しなの鉄道車であり車体の塗装は大阪近鉄の球団旗に使われている濃密な赤色115系。しかしこの115系には車内モニターが設置されていて広告が流れる仕組みになっている。8月1日から本格運用開始らしく賢明に広告主を募集していた。こんな115系にモニターを設置するあたりを見ると、しなの鉄道は永久に115系を使い続けるつもりなのか?ちなみにこのモニターでは列車の運行にあわせて停車駅を案内するような仕組みにはなっていない。
 篠ノ井は長野市の南部に広がる住宅地で駅の周囲はそれほど賑やかではないものの、一応在来線の特急しなのが停車する。が、新幹線は停車しない。駅構内の売店でオールスターゲームのプログラムを購入しシャトルバス乗り場へ向かう。
 シャトルバスは長野駅前からも発着しているが、運賃が長野駅からだと片道500円、篠ノ井駅からだと170円であるところに着目。長野から篠ノ井までのJR線運賃は190円なので篠ノ井からのシャトルバスの運賃を合計したとしても長野からのバスに比べ140円も安い!これは使わない手は無い。シャトルバスは川中島バスが担当している。鮮やかなALPICOグループカラーの車体ではあったが、このバスは篠ノ井地区の営業所に所属しているので多少年式が古いらしく、車内の床は板張りだった。これが長野地区の車両なら比較的新しい車両が充当されているのだが…。
 およそ10分程度で南長野運動公園に到着。周囲は警備員が厳重に路上駐車を排除していて物々しい。
 バスを降りると多量のカラーコーンが出迎えてくれる。このカラーコーンだがオリンピックスタジアムの備品であることを示すために「オリスタ」と印字されている。ファンや業界関係者が「ヤフスタ」のように名称を略して言い回す事はあるだろうが、本体が自らをこのように縮めて言い表しているのは極めて滑稽で笑いを誘う。
 時刻は13時半近くになっている。日曜日ということもあり外野自由席を中心にかなりの人が行列を作っていた。ライト側の自由席の列に仲間を見つける。
 今日は7月11日で第20回参議院議員通常選挙の投票日。そんなこともあり話しの中心は政治の話しに。
 列にはホークスはもちろん、パシフィックリーグ各チームのファンが集まっている。口々に合併やら1リーグを懸念している。一様にみんな反対を唱えている。
 そんな中、スタジアムの中より物々しい声がスピーカーを通じて聞こえてくる。

「それでは選手入場です!」「国歌斉唱は、歌手の松田聖子さんです!」

 「開門前から選手入場とは景気のいい話だ」と冗談を言い合い笑いが口を突く。これ、本番さながらのリハーサルなんだそうで。リハーサルなので「まさか松田聖子は来て無いだろうから国家は歌わないよな」と話をしていたところにあの有名な聞き覚えのあるキュンキュンした歌声が響き渡る。そう、本物の松田聖子の歌声である。一時はトップアイドルの座に君臨した松田聖子が長野クンダリまでやってきて真昼間から君が代を歌っているのだからなんだか間抜けで笑える。そもそも外に聞こえるような大音量でのリハーサルはちょっと問題ではないか???

 せっかく長野オリンピックスタジアムにきたのだから敷地を一周してみる。関係者入り口にはALPICOカラーの川中島バスに乗って選手が球場入り。
 警備の関係上、ものすごく迂回して球場の正面にやってくると、あの長野五輪の開会式で伊藤みどり女史がアテネからの聖火を点火した聖火台がスタジアムから敷地正面に移設されていた。すっかりモニュメントのようになっていて、もうこれには日が灯ることは無いらしい。
 ゲートの横ではプロ野球グッツの売り場が特設されていて、長野では買うことが難しい商品が飛ぶように売れている。さらに奥ではオールスターの限定グッツが売られていた。私も開催を記念して作られた「NAGANO」と印字されているTシャツを購入。話しによるとオールスターグッツは飛ぶように売れていて一部には試合開始を待たずに品切れしてしまうほどの勢いで売れているとのこと。これも合併・1リーグの余波だとすると大変複雑な気分になる。
 15時半、定刻に開門される。グラウンドを見るとパ・リーグ側である1塁ベンチ前には「これがパ側ベンチかよ」と思うほどの報道陣がベンチ前を取り囲んでいる。まさに「合併余波」と言っても過言では無いだろう。こんな注目はあまり気持ちの良いものではない。開門してまもなくレフトのセ・リーグ側自由席はほぼ満席になる。
 試合前に食料を調達すべく内野方面へ出向くと、そこには仮設のスタンドが出来ていた。鉄骨が物々しいスタンドは家族割り当ての「ファミリーシート」と呼ばれる座席だとのこと。強風などが吹いたらとても不安な気分になるだろうし、スカートを見につけた女性なら中身がしたから丸見えになってしまうのではないか?
 17時25分、西武ドームのアナウンス嬢によりバッテリー紹介に続いてスタメンが発表される。
 
Central Leage
CL
今岡誠
種田仁
ラロッカ
小久保裕樹
ロ|ズ
アリアス
福留孝介
矢野輝弘
二岡智
福原忍
守備
4
7
DH
6
8
3
9
2
6
P
8
7
3
DH
5
9
3
2
4
PL
SHINJO
村松有人
福浦和也
小笠原道大
オ|ティズ
磯部公一
中島
高橋信
金子誠
和田毅
Pacific Leage

 パッとこのスタメンを見て…昨日のナゴヤドームとは対照的にホークスの選手の名前が打者に無いことに気付く。和田毅が先発なら捕手は城島?との期待もあったが、今年打撃で活躍が著しい高橋信が今日のスタメン。城島の打撃も見たいがオールスターで高橋信の打撃も見たい。そういう意味では城島のスタメン落ちも悪くは無いかも。
 しかしその代わりにホークスOBである小久保裕樹がセ・リーグの四番として登場している。公式戦でも4番は高橋ヨシノブに譲っているのにオールスターで小久保が四番に起用されるとは…しかし今シーズンの小久保は25本以上の本塁打を放っていて見た目にはかなり絶好調だったりする。岡田彰信がオールスターの四番に使いたくなるのも判るような気がするが、、、それにしてもセ・リーグのメンバーは小久保以外得点圏打率が高い選手が並んでとても怖い。
 両軍の先発投手はセントラルリーグが今年見事な投球術を身につけて復活したハーラーダービートップを走る阪神タイガースの福原忍。パシフィックリーグは全日本でも先発投手の軸として期待されるホークスの和田毅。

 オールスターといえばホームラン競争。テレビ中継を担当する東京放送アナウンサーの進行により選手が紹介される。参加選手と結果は以下の通り。
セントラル野球連盟
 
パシフィック野球連盟
島@鯉 見××見××見×
一人目
和田一浩@獅子 ×見×見×××
岩村@燕 見見◎◎見×◎×見◎見××◎×
二人目
松中信彦@鷹 ×××◎××
タフィ・ローズ@読 見××見××見×
三人目
SHINJO@公 見×◎××××
 ホームラン競争は岩村が一人で打ちまくりセ・リーグの圧勝。新庄は打席に入る前に「午後8時まで打ち続ける」と言い放ち笑いを誘ったのだが、結局打ち終わったのは18時20分であった(笑)。
 試合開始に先立ち、国家が斉唱される。歌い手はリハーサル通り松田聖子。和服に身を包んだ松田嬢が出てきて周囲はカメラのストロボでキラキラと光った。
 始球式は15,408通の応募の中から選ばれた中沢まことくんにより行われた。
 
初回表オールセントラル
今岡誠@虎 ○+● 空振り三振 和田毅(鷹)
種田仁@星 三邪飛
ラロッカ@鯉 ●●「● ̄ 左前安
小久保裕樹@読 走者1塁→○ ̄¬ 空振り三振
 初回表の攻撃はセ・リーグから。打席には今岡誠が入る。和田毅の立ち上がりは極めて無難でラロッカにはヒットを許したものの、初回から三振を2つも奪う。
 ちなみに昨年までホークスに所属していた小久保裕樹だが、入団2年目の和田毅とは1軍のグラウンド上で一緒にプレーしたことは無く、今日がユニフォーム姿では初の対面となるが、まさか違う柄のユニフォームになっているとは思わなかっただろう。 
初回裏オールパシフィック
SHINJO@公 初球 ドラッグバント投ゴ 福原忍@虎
村松有人@波 初球 中前安
福浦@鴎 ¬ 左飛
小笠原道大@公 ○●+「 ̄ ̄● 投強襲安
オーティズ@波 走者1・2塁¬● ̄● 空振り三振
 その裏のパシフィックリーグ選抜の攻撃はファイターズの新庄から。打席に入るなりいきなり「予告ホームラン」のポーズをする新庄。しかしその直後、一転して初球をセイフティバントで投手福原がアッサリ捕球、ファーストへ転送しアウトになってしまう。オールスターらしくショーに徹したプレイに笑いが漏れる。続く村松有人も初球攻撃。こちらは見事にセンター前ヒットで出塁。実は試合前、オリックスの応援団氏より「村松の打席は全部ホークス時代の応援歌でよろしく」との申し入れがあったが村松が初球を打ってしまい実現せずに終わってしまう。福浦は2球目を打ち上げてレフトフライになり2アウトになってしまうが、小笠原の打球が福原を襲う。グラブを霞めてファースト方面へ打球が点々とする。その間に小笠原道大はファーストベース上を駆け抜けていた。これから試合が荒れていくのかと心配したが、5番オーティズは5球目を空振りし三振に倒れる。初回の両チームは無得点。
二回表オールセントラル
タフィ・ローズ@読 ○●「 二ゴ(4-3) 和田毅(鷹)
ジョージ・アリアス@虎 ○+● ̄ ̄ ̄ 空振り三振
福留孝介@竜 ○● 一ゴ(3-1)
 2回表のセ・リーグはタフィ・ローズから始まるがアッサリと3者凡退に終わる。 
二回裏オールパシフィック
磯部公一@牛 ○¬ 右飛 福原忍@虎
中島@獅 三ゴ(5-3)
高橋信@公 ○ ̄● 右前安
金子誠@公 走者1塁 ̄● 左飛
 その裏のパ・リーグもあっさりと2アウトになってしまう。が、城島に代わりスタメン出場している高橋信が打撃の良いところを発揮して4球目をライト前にヒットを放ち出塁。伊達にホームランをたくさん放ってはいないところをアピール。しかし金子誠が3球目を打ち上げてしまい3アウトとなってしまう。
 
 
  
三回裏オールパシフィック
SHINJO@公 ○¬ 中越二塁打 福原忍@虎
村松有人@波 初球 1ゴ(3・3)
福浦 捕邪飛
小笠原道大 ●++ ̄ ̄●
 そして問題の3回裏がやってくる。先頭打者の新庄剛志が3球目をセンター方向へ。打球はタフィ・ローズの頭上を越えていく。新庄はセカンドベースに滑り込みチャンスメイク。村松が初球を打ってファーストゴロ(3・3)で1死3塁となる。福浦は2球目を打ち上げて矢野輝弘がファールゾーンで捕球し2アウト。しかし「事件」はこの訪れる。
 
 
 
 
 
 

 


home