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2003年10月22日水曜日 日本野球機構第54回プロ野球日本選手権シリーズ

株式会社阪神タイガース阪神Tigers福岡ダイエーHawks株式会社福岡ダイエーホークス3回戦
阪神甲子園球場 18:16 有料入場者数;47,722人 観戦場所;レフト外野ビジター応援指定席応援団ゾーン
ホークス
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
 
タイガース
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
2
    
勝利投手
吉野誠 1勝
敗戦投手
篠原貴之 1勝1敗

審判員・記録員
本塁打
球審
柿木園悟(関西・パ)
金本知憲1号打点1・投手:和田=四回
一塁
谷博副部長(関西・セ)
二塁
東利夫主任(関西・パ)
三塁
笠原昌春(関東・セ)
左翼
中村稔主任(関東・パ)
右翼
橘高淳主任(関西・セ)
公式記録員
村林弘之(パ)・嵯峨美樹(セ)

今日の敗因は城島の盗塁かなぁ〜
ムーア・和田の投げ合いは見ごたえ充分!

 阪神がサヨナラ勝ちでシリーズ初勝利。延長10回に篠原貴之を攻め、ジョージ・アリアスの四球と桧山進次郎の安打、さらに矢野輝弘の敬遠で一死満塁とし、藤本敦士が中堅へ決勝の犠飛を放った。1点先制されたものの、4回に金本知憲が中堅右へ1号本塁打し同点。トレイ・ムーア、和田毅の投げ合いで白熱した投手戦となったが、延長で好機をとらえた。2番手で3回を好救援した吉野に白星。
 福岡ダイエーは1回に川崎宗則、井口資仁、松中信彦の3連打で先制。和田毅も6回を2安打と好投したが、抑えの篠原貴之がつかまった。

■2003年10月21日火曜日
 我が家へ転居してきて何年が経過しただろうか?実は遠征を含めて野球へ出かけるのに徒歩で家を出るのは今日がはじめて。いつもなら原付バイク・もしくは誰かの送り迎え自動車で出かけることばかりだったので。
 ということで我が家の近所にある相鉄バス谷戸入口バス停から鶴ヶ峰駅行のバスに乗り込む。時刻はいつも会社へ出社するのとほぼ一緒の8時半。この時間帯はバスがもっとも頻繁に運転されている。すでにバス停には6人ほどが列を作っている。私がバス停に到着したときにはすでにバスが到着していたので私もそのバスに乗り込むが、乗ったバスの後部を見るともう後続の鶴ヶ峰駅行きバスが列を作っている。これが噂の「山手線よりも本数の多い路線バス」。
 鶴ヶ峰駅バスターミナルに到着すると早足で駅に向かう。横浜へ向かう快速電車は3分前に発車してしまった後でこの次の横浜行は各駅停車。ご丁寧に星川で後続の急行電車に追い抜かれながら9時05分に横浜駅に到着。

 いつも空港に向かうときは好んでYCAT(横浜シティエアターミナル)から発車するリムジンバスを使うのだが、通勤の混雑が予想される首都高速は避けたかったので今回は京急電車を使う。9時を過ぎてさすがに過密ラッシュは終わってはいるが東京方面の混雑は相変わらず。ちょうどやってきた押上行きの快速特急に乗り京急蒲田駅で降車。横浜方面からの電車利用が敬遠される原因である乗り換え階段を昇り降りし3番線ホームに停車中の電車に乗り込もうとしたが、良く見ると行き先が「印旛日本大前」と書いてある。この電車は羽田空港には行かない。京急蒲田駅の空港線ホームは上下単線共用なので良く確認しないと大変なことになってしまうので注意が必要。
 蒲田からの空港線の車内はそれほど混雑はしていない。ゆっくりと車内を見渡すと中吊り広告に目が行く。普段は「羽田アクセスは京急」と詠って広告を展開している京急が今度は「これからは品川のりかえ」と新幹線の乗換えを強調する広告が掲示されている。大阪へ行こうとする人間はこの広告と飛行機の広告を見ていったいどっちが便利なのだろうと考え込んでしまうのではないか。
 10時前に羽田空港に到着できたのでとりあえずすぐに搭乗手続きを済ませたい。しかし今日はいつもの航空券ではなくJRのみどりの窓口で発券したチケットなので自動チェックイン機を利用することができないので窓口に向かう。マルス発券の航空券といっても書いてある内容は旅行会社や航空会社のカウンタ・空港で発見される航空券と記載されている内容はさほど変わらない。氏名・年齢・便名・空港名はもちろん、JGCであることまでが自動印字されているのには違和感を感じた(笑)。
 ラウンジで暇を潰した後に10時10分、搭乗予定の111便の搭乗口5番へ向かう。JALサクララウンジから5番搭乗口までは結構な距離を進まねばならない。搭乗口の先にはおなじみのJASレインボーセブン機体(Boeing777−200・JA89978)が駐機していた。指定されたレインボーシート3番G席に着席。いつもなら早朝もしくは深夜の利用なので感じないことだがさすがに普通の時間帯。10時台の羽田〜伊丹の飛行機はびしっとスーツを着込んだビジネスマンか社長・重役クラスの人が目立つ。新幹線の普通車指定席の場合はもうちょっと若い人たちが居そうなものだが、私が座る旧レインボーシート座席も私以外はすべて出張族のオジサマばかりで私はとても場違いなことこの上ない(笑)。新幹線で言うならばグリーン車ですな。やはりJALグローバルクラブという組織は私のような平民には本来敷居が高い組織なのだろう。
 そのグリーン車の雰囲気を一気に壊したのは場所もわきまえずにタイガースのユニフォームを身にまとい両手にメガホンを持ったタイガースファンたち。う〜む。。。
 飛行機は少々遅れたものの11時38分に雨の伊丹空港に到着。飛行機内から見えた雨脚はそれほどひどいものだとは思わなかった。
 伊丹空港に到着したものの試合は18時過ぎに開始されるのでかなり暇。ということで伊丹空港から川西池田行きのバスに乗り込むことにした。本数が少ない川西方面行のバス。まずは伊丹空港の手荷物検査場前に置いてあったバスの時刻表を調べると…11時50分発。携帯電話の時計を見ると11時45分。こりゃこのバスを逃すわけにはいかないとばかりに走り出す。到着ロビーには修学旅行の女子高生がたくさん座り込んでいたがそんなものを飛び越えてバス乗り場へ進む。バスは出発時刻を待つかのように停車していた。私が乗り込むと扉が閉まり出発。
 この伊丹空港⇔川西方面行は大阪空港交通リムジンバスで唯一スルっとKANSAIのカードが使える路線。手持ちの阪神らくやんカードを利用する。川西池田駅に到着するとすぐに隣の北伊丹駅までの乗車券を購入。暇つぶしのために大阪梅田までの各駅を乗り降りしながら進んでいくことにした。北伊丹駅で降りると最初に寂れた北出入口から降りてみる。改札口に近づいたところで目に入ったのはスカイブルーの機械?それともパンフスタンド?近づいてみると11月1日より本格導入が予定されているICカード乗車システムのICOCAに金額をチャージする機械だった。
 この機械、改札の内側と外側に設置されていた。ご丁寧に北側出入口だけではなく南側出入口にも同様に2機設置されていた。これを見ると既存の券売機をICOCA対応に改造したり新設するよりもこのスタンド型機器を設置する方が安上がりなのだろう。
 この後、伊丹駅でも降車して全国JR駅乗り降り経験駅を増やして行くが、雨天のため猪名寺・塚口の両駅は次回の遠征の際に乗り降りすることにした。伊丹からは快速の同志社前行に乗るがこの電車が微妙な味を出している。この後、心斎橋にあるホテルに向かいたい私はこのままJR東西線へ直通するこの快速電車に乗り続けるべきか、それとも尼崎で接続する大阪駅方面行電車に乗り換えるべきか少々頭を悩ませる。肝心の尼崎駅に到着し駅ホームに居た係員に尋ねてみるも、この後「御堂筋線に乗りたいのですがJR東西線で北新地駅に行くべきか?東海道線で大阪駅に行くべきか?」と尋ねると…「微妙ですねぇ」と苦笑いされてしまう。JR東西線の北新地駅と東海道線の大阪駅は互いに地下でつながっているので乗り換えの際はどっちを使っても良いことになっているのだが、逆にこのケースの場合はそれが災いし頭を悩ませることに。
 結局この難題、係員氏が「駅の立地はともかく、大阪へは7分で行けますよ。北新地だと10分かかります」のひとことで東海道線に乗り換えることにした。 
 雨脚は相変わらず微妙に強い中、快速電車は塚本を通過し大阪駅に到着。すぐさま御堂筋線に乗り心斎橋へ。13時ちょっとすぎ、ホテルにチェックイン。手荷物を運んでくれた係員さん曰く「今日はシリーズ観戦のお客様で満室なんですが前のお客様はオークションで3試合分を10万円以上かけて手に入れたそうらしいですよ」とのこと。10万以上掛けて手に入れたチケットだがこの雨では少々心許ない。
 案内された部屋は18階の大阪ドームが良く見える部屋。しかしまぁオークション。通常購入は4枚まで購入可能になっているところを仮に2名で観戦する予定の人間が余分に2枚買って余る2枚をオークションに流す。だから本来欲しい人間に定価でチケットが行き渡らないという不具合が生じる。電話やインターネットで本当に欲しい枚数をリサーチすることは不可能であることからこの販売方法には限界を感じる。かといって行列での購入もホームレスの大量雇い入れで公正な購入方法とは言いがたい。いったいどのような方法が公正な販売方法なのか考えさせられる。
 荷物を置いて落ち着いて、デジカメの画像をパソコンに落とす。すぐに再び地下鉄御堂筋線に乗り梅田駅に向かい阪神電車に乗り換える。改札口の前にある「催物ご案内」ボードに輝く「阪神−ダイエー」の文字。普段ならオープン戦でしか見られないこのカード、それも甲子園での開催となると2000年までさかのぼらなくてはならない。
 その改札口には「天候が悪いが仮に試合が中止になっても乗車後の乗車券の払い戻しが行われない」とこと「日本シリーズチケットは売り切れている」ことが掲げられている。梅田駅からは先発の急行電車に乗り甲子園に向かう。しばらく急行電車に乗ってなかったのだが平日昼間の急行電車はいろんな駅に停車する。梅田を出ると福島・野田と連続停車。続いて尼崎に停車。さらに武庫川にも停車した後にようやく甲子園に到着。もう大阪〜神戸間の輸送についてはJRに白旗状態のようだ。
 甲子園駅に到着しても雨脚は全く衰えない。「こりゃ中止だな」と踏んでホテルで借りた傘を差しながら外野門に向かう。さすがに雨模様。周囲には人影は少ないもののわずかな期待を抱いてタイガースファンが球場の周辺に集まっていた。人影が少ないおかげで駅前のモニュメントが落ち着いて綺麗に撮影できる(笑)。
 甲子園といえば野球場と並んでいるダイエー甲子園店。国内のダイエー店舗の中で実は2番目の売り上げを誇るこの甲子園店(1位は東京都目黒区の碑文谷店@王監督の自宅近所)。以前はホークス・タイガースともの弱体チームだったことから両チームの対決はもっぱらオープン戦。「もし日本シリーズでタイガースとホークスが対戦した場合、甲子園のダイエーはどっちを応援するんだ?」という話も昔は笑い話でしかなかった。しかし今年はまさか両チームが優勝してしまうとは。
 さて、そんななか球場敷地に入る。やはり人影はまばら。外野口には毎度おなじみのホークスの応援団さんたちが揃っていた。軽いご挨拶を交わしたその瞬間。無情というべきか、はたまた待ち望んだというべきか(笑)場内アナウンスが流れる。
「こちらは阪神甲子園球場でございます。本日の日本シリーズ第3戦阪神対ダイエーは、ご覧のような天候ですので誠に残念ではございますが中止となり明日へ順延となりました」

 中止が決まれば長居は無用。さっさと引き上げる。中止の看板の前にメディアのカメラが群がる。確かに絵になる光景ではある。その横で昨晩放送のニュースステーション天気の予報が見事に外れたことに対する文句を口にする人も(笑)。「上山天気のうそつきぃ〜」の声がむなしく響く甲子園(笑)。

 阪神電車と御堂筋線を乗り継いですぐにホテルに到着。日本シリーズのチケットはチケットに書かれた試合に有効。よって第3戦と書かれたチケットはあくまで第3戦に有効。決して無効にはならない。こうなると予定通りにしか休暇を取得できない人がとてもかわいそう。私はそんなこともあろうかと思い5連休にしておいたので安心(笑)。
 ドーム球場全盛の昨今、日本シリーズの雨天中止は5年ぶり。5年前といえばベイスターズとライオンズ。雨で中止が多くコンディションを乱したライオンズがずっこけてベイスターズが日本一に輝いた年。懐かしい話ですなぁ。
■2003年10月22日水曜日

 朝のホテル。今回の宿泊プランは朝食が付くJALフライトオプション。その朝食はバイキング方式なのだが11時までの営業。今回の遠征は給与支給日前の超貧乏状態。朝食をたらふく、それも昼食に近い時間帯に食べることが大切。ということで10時ちょっと過ぎに起床する。着替えてすぐにホテル2階にあるレストランに向かう。スクランブルエッグとソーセージ、アップルジュースをたらふく食べる。クロワッサンも3つ食べたところで空腹が満たされる。すぐに部屋に戻って新聞に目を通す。昨日の中止がネタになっていた。1面に甲子園に集まったファンのコメントが載っていたがその中にある東京都東村山市のSさん(32歳)のコメントに目がとまる。誰かと思えば所沢に本社がある大手私鉄S鉄道勤務でI袋線の運転士をしているSくんじゃないか!タイガース貧弱時代に一緒に応援をしていた彼の名前をまさか新聞で見るとは思わなかった(笑)。

 新聞を読んでいると起き抜けで満腹だったこともあり胸焼けを起こしてしまう。起きているのもしんどいので眠ることに。14時ちょっと過ぎ、ホテルの客室係りにハウスキーピングを依頼。ようやくホテルを出る。
 今回の遠征は甲子園への道のりをいかに安く上げるかを極めることに。ホテルを出る前にパソコンの運賃表ソフトと睨めっこ。ソフトによると地下鉄は梅田まで乗っても、野田阪神に向かっても同じ230円。しかし阪神電車の運賃が梅田からと野田からとでは30円も違うことに気付く。さらにJR線の地図に「甲子園口」という駅を発見。手持ちのJスルーカード(JR西日本関西圏自動改札カード)の残高が600円もあることから今回は地下鉄千日前線で野田阪神に出て、野田阪神駅と繋がってるJR東西線海老江駅から甲子園口に向かうことにした。

 心斎橋駅から長堀鶴見緑地線に乗り西長堀駅に向かう。大阪ドームに向かうときはそのまま乗り続け大阪ドーム前千代崎駅で降りる。長堀鶴見緑地線はリニアモーターカー方式の地下鉄。同様の方式は神戸市営地下鉄海岸線や都営地下鉄大江戸線がある。さらに現在我が地元・横浜の中山から日吉までの横浜市営地下鉄もこのリニアモーター方式。断面が小さく建設コストを低く抑えられるメリットがあるこのリニア方式だが、この方式はデメリットもある。この方式を取り入れている大阪・神戸・東京の例を見れば判るが他線への乗り入れが不可能。よってこれ以上の発展は路線延長以外あまり望めないのだ。
 まぁこの長堀鶴見緑地線はほぼ完成している路線なので問題は無いのだが。西長堀駅で長堀鶴見緑地線から野田阪神方面の千日前線に乗り換える際は階段を2回上って1回下らなければならないので結構歩く。
 野田阪神駅に到着すると地上に上がることなくJR海老江駅に進むことができる。昨日の試合中止が原因で第5戦終了後に乗車予定だった24日0時半のサンライズ瀬戸号の寝台特急券をキャンセルするためにみどりの窓口へ。しかしこの特急券はJR東日本武蔵新城駅でクレジットカード購入したもの。ここはJR西日本なので払い戻し手続きをすることができない。とりあえず座席指定だけは取り消すことはできるのでチケットに「不使用証明」をしてもらい東京でクレジットカードの手続きを行えるように配慮してもらうことに。
 地下駅のJR東西線、海老江も当然地下ホームになっている。次にやってくる電車は甲子園口にも行く西明石行き。尼崎から東海道本線(JR神戸線)に直通するので好都合とばかりに乗り込む。海老江から甲子園口までは途中、御幣島・加島・尼崎・立花と停車し5駅目。甲子園口駅の北口は瓦屋根が特徴的な小ぢんまりとした駅舎で阪急バスが発着している。駅前の駐輪場には分割民営化されてかれこれ16年も経過しているというのに「国鉄」の文字が躍っていた。
 南口に出て駅の写真を撮った後に阪神バスも時速10キロ制限を受けて走る商店街を歩く。
 「甲子園」という地名は実はかなり広範囲に渡って分布しているようで、JR駅が位置している場所が甲子園口という場所、歩くうちに上甲子園という地名に変わり、大きな国道を渡ると甲子園筋という道が広がる。閑静な住宅街が広がり、とても熱狂的なファンを抱えるプロ野球チームの地元という雰囲気は感じない。この道を進むと甲子園球場にぶち当たるとのことなのでひたすら歩く。JR甲子園口から発車する阪神電鉄バスはこの甲子園筋を進むそうでバス停を確認しながら歩くことができる。甲子園二番町から甲子園三番町〜甲子園五番町とバス停が続く。バスのルートがわかっているので見知らぬ土地でも問題なく歩くことができる。甲子園三保町という地名が見えたところで阪神電車が見えてきた。右手におなじみのダイエー甲子園店が見えてきてようやく球場が近づいてきた。
 阪神電車の高架をくぐると駅前では総選挙を見越した候補予定者がタイガースのネタをちりばめながらの演説をしている。「野球の日本シリーズが終わったら、今度は政界の日本シリーズにもしっかりと参加してください」と力瘤を作りながらの演説。が、演説を聞いている時間など無い。甲子園球場の敷地内では携帯電話内臓カメラを片手に記念撮影に余念が無いタイガースファンが多いこと(笑)。時刻は16時40分。甲子園口駅を出たのが16時10分頃だったので都合30分で移動できたことになる。距離にして一般的な都市部の鉄道の一駅くらいとほぼ等しい距離で決して歩けないことはない。
 入場すると平日、さらに雨天で順延されて予定が狂っているはずにもかかわらずかなりの数の観客が入場している。日本シリーズというイベントは会社を休む立派な口実になり得る事を甲子園が証明した(笑)。
 チケットには「ビジター応援指定席」と書いてあるが、そんなことはお構い無しで思い切りタイガースファンが多数を占めていた。福岡ドーム開催でのレフトスタンドはほぼ全部がタイガースファンで占められていたので、今でこそ福岡のチームではあるが元来関西チームだったということで甲子園のスタンドにも数多くのホークスファンが来ている…と考えていたが…甘かった。そこはタイガース天国の関西。私の周りこそ私設応援団のゾーンだからホークス側の人間が多数を占めているものの、前方・後方には数多くのタイガースファンが占拠していた。ホークスが打撃練習を終えた後に流れる「阪神タイガースの歌」の大合唱でその感を強く感じた。
 17時25分、両チームの先発バッテリーが場内放送により発表される。予告先発に慣れ切ったパ・リーグファンにはこのイベントは馴染みが薄い。ホークスは和田・城島、タイガースはムーア・矢野と発表される。この時間になると場内はほぼ満員になるが、3塁側アルプスに大きく穴が開いたような空席が見えるのが気になる(笑)。
 直後、ベンチ入り選手メンバーが発表される。
阪神タイガース 福岡ダイエーホークス
投手
安藤優也、T.ムーア、金澤健人、吉野誠、福原忍、伊良部秀輝、佐久本昌広、石毛博史、J.ウィリアムス、J.リガン 篠原貴行・新垣渚・和田毅・渡辺正和・星野順治・水田章雄・岡本克道・吉田修司・佐藤誠
捕手
野口寿浩・矢野輝弘 城島健司・田口昌徳
内野手
秀太・八木裕・沖原佳典・今岡誠・片岡篤史・藤本敦士・G.アリアス・広澤克実・久慈照嘉 松中信彦・鳥越裕介・井口資仁・本間満・J.ズレータ・川崎宗則・瑞季・稲嶺誉
外野手
中村豊・金本知憲・桧山進次郎・濱中おさむ・赤星憲広 大越基・村松有人・柴原洋・P.バルデス・大道典嘉・出口雄大
 あらかじめ発表されている出場資格を有する選手の半分はベンチ入りすることができないでいる。ホークスは荒金久雄や山崎、中村や田之上が、タイガースは藪、藤川、浅井、中谷、上坂、関本、早川が該当している。

 そしてスタメンが発表される。

Fukuoka Daiei Hawks
柴原
川崎
井口
松中
城島
バルデス
村松
鳥越
和田
守備
9
5
4
3
2
7
8
6
1
4
8
7
3
9
5
2
6
1
今岡
赤星
金本
八木
桧山
アリアス
矢野
藤本
ム|ア
Hanshin Tigers
 ホークスは福岡ドームで仕事をしたとはいえ守備が全く不安なフリオ・ズレータを指名打者が使えないという理由で外した。セ・リーグルールが適用されるこの試合は当然和田毅も打席に入ることになる。よって指名打者を使えない場合のベストメンバーといえる布陣を組んできた。対するタイガースはというと広澤克実を外して神様・八木裕を四番に起用。それ以外は普段どおりのオーダー。9番ピッチャー・ムーアは投手だからといって侮るべからず。彼こそシーズン中打率3割をキープする打撃の達人。フルスイングはその辺の野手のそれをも凌駕する迫力を持つ。昨年夏の札幌ドームでは4打数3安打を記録した挙句に最終打席で安打した後、代走を送られる程の腕を持つ。投手が最終打席で安打を放った後に代走が送られたのを見たのはこれが最初で最後だ(笑)。
 阪神側でひと盛り上がりの後にホークス側でも試合前の発声練習的に応援が繰り広げられる。
 すっかりと日が暮れてしまった。私が屋外球場で日本シリーズを観戦するのは1998年の横浜スタジアム以来。よって寒さを覚悟した。しかし実際にはそれほど寒さを実感しない。秋の甲子園は風がそれほど吹かないのだ。
 試合が始まる約20分前になりようやくシリーズの甲子園開幕セレモニーが行われる。司会進行役のアナウンサーさんが開会を宣言するといきなり「阪神タイガースの歌(六甲颪)」が流れてきた。「まさかこの曲に乗せてホークスも入場してくるのか?」と思ってしまったがホークスは出て来ずタイガースの選手だけがマウンドを中心に1塁側に整列。直後になんとも場違いな「いざゆけ若鷹軍団」の伴奏とタイガースマスコット・ラッキーちゃんによる先導でホークスの選手たちが入場してくる。
 両チームが整列するとラッツアンドスター(旧シャネルズ)でおなじみの鈴木雅之による国歌斉唱が行われる。夜なのにサングラスをしている姿には違和感を感じた。サングラスをするくらいならシャネルズ時代を思い出して顔を真っ黒に塗ってしまえば良いのに。ちなみに田代も桑野もきてはいなかった。
 国歌斉唱が終わると1塁側より和服を着た女性が花束を持ってやってきた。この手の花束贈呈は有名どころが出てくるのが定石。和服が似合う美女といえば…演歌が良く似合う長山洋子か坂本冬美が関西っぽくて良いかもしれない(私の趣味ではないが)。しかしアナウンスされた和服女性は阪神百貨店の社員2名だとのこと。なんとも金の掛かっていない人選。2000年7月31日の日本ハム対千葉ロッテ@札幌円山も花束贈呈は日本ハム北海道支社とロッテ商事札幌支社の社員だったことを考えるとせめて片方は阪神百貨店社員ではなく隣接するダイエー甲子園店の社員を呼んで欲しかったところだ。
 さらにリストラ開会式は続く。日本シリーズの始球式といえば豪華なタレントを呼ぶのが定石。シリーズだけではなくシーズンの開幕といえば松たか子や宮澤りえ、さらには2000年に「長嶋監督・王監督両方のファン」と意味不明な八方美人発言を豪語し始球式をしておきながら、実はオリックスブルーウェーブの外野手Tと付き合っていた柔道・金(当時は銀)メダリストのT村R子が出てきたりする。T村が豪華かどうかはともかく一応メダリストということから金は掛かっている。
 しかし今日の始球式はOBの吉田義男氏。ABCテレビの解説のついでにやっていることは明白。金は掛かっていない(笑)。まぁ政治家や●●市長、●●県知事とかを呼ばれるよりは数百倍マシであることは言うまでも無いが。
 試合は18時16分、1分遅れで始まる。初回、先発ムーアの投じる第1球、いきなり柴原洋の頭上を通過し矢野輝弘も捕球することができない暴投。不安な立ち上がりをいきなり露呈する。しかし柴原はフルカウントまでいくも空振り三振に。続く2番川崎宗則は2球目をセンターへゴロのヒットを放ち出塁。ここから4人続く計100打点カルテット。最初は井口資仁。初球=ストライク、二球目=ボール、三球目=ハーフスイング空振りでカウント的に追い込まれたもののちょこんとあわせて当てた四球目、打球は詰まったものの1・2塁間を抜けていきヒットに。ファーストランナーの川崎はセカンドへ進塁。さらに四番・松中信彦は初球ファールの後の2球目を1塁線に。早い打球がライト方面に抜けていきセカンドランナー・川崎宗則がサードを回りホームイン!ホークスが1点を先制。ホークスが4連勝でシリーズを終えると宿泊代が節約できるのでこれほど愉快なことは無い。もっともっと追加点を取って試合を有利に進めたいところ。しかし今日の試合、この後の城島とバルデスをキッチリ打ち取られているのが痛い。初回の城島の打席からムーアは苦しんでいるのが判る。ストライクを取ることに四苦八苦している…というよりもストライクが入らないのだ。城島へは7球、バルデスには5球も投じているのにストライクはファールで稼いだカウントのみ。しかし城島はファーストゴロ(3−1)、バルデスはなんと三振に倒れ、掛かった時間の割りに取った点は1点に終わってしまう。初回、ムーアの投球数は26球。
 その裏の和田毅の立ち上がりは実に無難なものだった。今岡誠をカウント2−2からファーストフライに、赤星憲広をレフトフライに、さらに金本知憲はショート鳥越へのフライに打ち取り17球で初回の山を越える。続く2回裏のタイガースの攻撃も和田毅は八木裕、ジョージ・アリアスをともに3球でショートゴロ(6−3)、桧山進次郎は4球目を振らせて空振り三振に仕留めこの回も三者凡退。スライド登板では良い思い出の無い和田の不安を一層させるナイスピッチング
 それに対しトレイ・ムーアも呼応するように好投を始める。2回は村松有人をファーストゴロ(3−1)、鳥越をサードゴロ(5−3)、そしてプロ入り初打席になる和田毅へはカウント0−3になるものの最後は3球連続ストライクで見逃しの三振に倒れる。パ・リーグ投手は打席に入らないので仕方は無いとはいえ、1999年日本シリーズでは星野順次が中日相手に安打を記録しているという珍事もあるので馬鹿にはできない。続く3回も柴原=ショートゴロ、川崎=サードファールフライ、井口=キャッチャーファールフライで三者凡退。裏の攻撃でムーア自らチーム初安打を放ち気分を良くしての4回表は城島が1死から出塁するものの今日はブレーキ役のペドロ・バルデスがセカンドへ併殺打を叩いてしまい、いよいよムーアに手も足も出なくなってくる。ちなみに4回表のセンターリードは鷹羽(笑)。展開も応援もいよいよ寒く痛くなってくる。
 ライトスタンドのタイガース応援団。黒いハッピの軍団が異様に多いことに気付く。
 四回裏、赤星をピッチャーゴロで無難に1アウトを獲った、、、ところまでは順調だった。しかし、3番金本知憲へ投じた4球目の真っ直ぐを強く引っ張った打球は右中間スタンドに綺麗な放物線を描いて吸い込まれていく。秋の甲子園は左打者に優しかった。ここまで好投を続けていた和田毅がはまった落とし穴。「甲子園は左打者に不利」という定説は春先から夏場までの話であって城島ともどもデイリースポーツを愛読していれば秋は浜風が止んで左打者も普通に打球が飛んでいくことが掲載されていたのだが、どうやら読んではいなかったようだ。デイリースポーツを読んでいれば責め方もだいぶ変わったのだろうが、悲しいかな福岡ではデイリースポーツは売っていないので仕方が無い。 
 こうなると敵に回したタイガースファンの声援が痛く突き刺さる和田毅。明らかに動揺している様は4番八木裕に対しての投球でもわかる。いきなりカウントを0−3にしたところでストライクを1球挟んで四球を出してしまう。これは八木の威圧感もあるが明らかに盛り上がったタイガースファンの力によると事が大きい。ファンの後押しで手に入れた四球というのはすごい。別の視点で言うと…タイガースファンも大人気ない(笑)。マウンド上にいる投手は実績はあれど新人でっせ!
 しかしこの後はジョージ・アリアスを6−4−3の併殺に打ち取り、ここは大人の投球を演じて窮地を脱する。一時は貧弱な点を見せてどうなるかと思ったがさすがは和田というところを見せた。
 同点に追いついてもらったトレイ・ムーアは俄然調子を維持している。5回表のホークスは下位打線。村松=ショートゴロ、鳥越=見逃し三振、和田のプロ2打席目はサードゴロ(5−3)に終わり三者凡退。ちなみにこの回、三者凡退の回の応援センターリードも鷹羽(笑)。
 5回裏の和田も立ち直り桧山進次郎=2球目をキャッチャーファールフライ、矢野輝弘=5球目をセンターフライ(フェアゾーンにとんだ今日最初の外野フライ)、藤本敦士=3球目をサードファールフライで三者凡退。いよいよもって投手戦の様相を呈してくる。
 6回表、柴原洋が先頭打者で3球目をセンター前ヒットを初回以来の安打を記録。さぁ!とばかりに川崎は送りバント。これを成功させて柴原はセカンドへ進塁。が、井口は3球目をレフトフライに倒れ2アウト、そして松中信彦はなんとキャッチャーゴロ(2−3)に終わり柴原のヒットを生かしきれない。ちなみにホークスが初回以外で記録した残塁はこれが始めて
 その裏のタイガースはムーア=セカンドゴロ、今岡=ファーストファールフライ、赤星=ショートライナーで三者凡退。試合は静かに進んでいく。
 7回表の攻撃前、福岡ドームではビジター・タイガースの球団歌「阪神タイガースの歌(六甲颪)」が球場のスピーカーから流れていたので、それに対して今日の甲子園でもてっきりホークスの球団歌「いざゆけ若鷹軍団」が流れるものだと思っていた。しかしここはセ・リーグの球場。パ・リーグ球場の場合はシーズン公式戦からの恒例で相手球団の応援歌をスピーカーから流しているだけの話でセ・リーグにそんな風習は無い。よってスピーカーから球団歌が流れることは無い。少数のホークスファンから打ち上げられるジェット風船。これによりホークスの選手はようやく今日のホークスファンの人数を認識したのかもしれない。
 だからかどうかは判らないが城島・ショートゴロで1アウトの後のバルデスが8球粘って四球で出塁。さらに村松有人の5球目、ムーアの投球がインコースに入る。村松もスイングしかかったが投球が1塁ファールゾーンで弾む。確かに打ちにいってるように見えたが球審・柿木園のコールはデットボール!これには星野監督も抗議に出てくる。相手にしてみれば抗議をしたくなるのも頷けるような怪しい村松のバットコントロール。しかし判定は覆らない。これで1死1.2塁となりど〜する?鳥越!監督はバントを指示。初球からバントの構えをしながら2球目をネット裏へ打ち上げてしまう冷や冷やぶりを発揮するも、3球目をキッチリと投手に取らせてバルデスと村松が進塁。2死2・3塁。ここで試合のポイントとなる代打・大道典嘉がコールされる。当然歩かされるものだと踏んだがムーアが投じた初球はなんと甘い高めのストレート。これを打ち損じとも言えるファール。これが勝負の分かれ目になろうとは…。続く2球目はファール、3〜4球目をネット裏に打ち上げて4球投げさせてもストライクばかり。2球ボールを挟んだ後の7球目、根負けした大道はセカンドゴロに打ち取られる。素人目に見ても力負けのように感じた。この回、結局ホークスは無安打・無得点に終わる。ちなみにこの回の応援センターリードは関東の応援団であることを鷹羽の名誉のために強調しておく(笑)。
 その裏のタイガース、威圧感たっぷりのジェット風船の乱舞。その風船がグラウンドに落下するが、先ほどの回に和田に代打が送られたおかげでホークスは岡本が投球練習をしていて、その間に綺麗さっぱりと風船の片づけを終えてしまう。
 この岡本、今日は「良い岡本」の日だった。この回の先頭・金本をいきなり3球三振(空振り)に斬って取りまずは1アウト、八木も5球目を見逃して三振に、さらに5番桧山進次郎も4球目を空振り三振に!お見事上位打線の3者連続三振!
 8回のホークスはこの回から代わった吉野誠に押さえ込まれる。先頭の柴原洋こそ7球粘られるがショートゴロにしとめ快投乱麻の投球の幕が上がる。川崎宗則は空振り三振で2アウト、さらに井口も初球をピッチャーゴロで素早くチェンジに。
 その裏のタイガース、1死後の矢野が7球目に三遊間をゴロで抜けるヒットで出塁。藤本が初球をキッチリ送りバント。松中信彦が塁間で捕球しそのまま藤本にタッチし2アウト。打順は9番だが8回から守備で沖腹が入っていた。だがここで代打が送られる。広澤?片岡?それとも???答えは浜中おさむだった。復帰して第2戦でヒットを放つ若き虎の主砲が代打で残っているのだからタイガースの選手層も厚くなったもんだ。しかしこの浜中も4球目をショートゴロに打ち取られこの回のタイガースも無得点に終わる。1対1のがっぷりよつ。
 9回表、同点で迎えるホークスはこの回にできれば点を獲っておきたい。そんな中先頭の松中信彦がレフト前へヒットを放ち無死1塁。1.2戦とホームランを放つシリーズ男の城島健司に期待をしたが結果はショートゴロ。6−4と送球されて待つ中信彦が封殺。1死1塁でバルデスは空振り三振。それも2球目はいったんボールと判定されたものの矢野の抗議でストライクに覆ってしまった後の空振り三振であっという間に2死に。「つないでいけば鳥越に代打にズレータでも出して勝負かな?」と考えていた村松の打席の2球目、なんと城島がセカンドへ盗塁を敢行。成功すれば流れは一気にホークスに来るところだったが結果はアウト。。。あ〜あ。
 9回裏のタイガースは1番からだったが今岡はショートゴロ(6−3)、赤星はレフトフライ、金本はハーフスイングの空振り三振であっさりと三者凡退に終わり延長戦に入る。
 延長に入ったところでちょっと視線をセンターにずらしてみると、、、ビジター応援指定席の協会付近に陣取るタイガースファンの女性の格好に度肝を抜かれてしまう。上半身のビキニ水着は見かけないことも無い井出達であろう。しかしこの女性、下半身もビキニなのである!秋風は強くないものの季節は確実に夏ではないのに黒いビキニの水着で応援するこの女性。タイガースを応援する中でどうして水着になっているのか?とぜひ聞いてみたいところだった。
 10回表、この回もあっさりとホークスは村松からの打順、サードゴロ2つと篠原の三振で三者凡退に終わる。
 その裏のタイガース、先頭の八木裕は空振りの三振に倒れて1死になるが5番のジョージ・アリアスが粘って四球を選ぶ。1死1塁。正直嫌な予感がした。ここで桧山はカウント1−1からの3球目をライトへ軽くスイング。打球はファーストの横を抜けてライト前へ。アリアスはセカンドベースを蹴ってサードへ。タイガースにとっては願っても無い、逆にホークスにとっては大ピンチとなる1死1.3塁。マウンドに尾花投手コーチが向かいなにやら打ち合わせ。その打ち合わせの結果は矢野の敬遠。1死満塁となる。「もうど〜なっても知らん!」という気持ちになってしまう。だからかどうかはわからないが藤本敦士は初球をぽこ〜んと打ち上げる。なんで藤本相手に簡単にフライを打ち上げられるんよ!この瞬間、負けを覚悟。村松が定位置よりも前で捕球。アリアスは当然サードベースからタッチアップ。セカンド・井口資仁が中継するも時すでに遅しでアリアスはホームベースを駆け抜けていた。タイガース、どうにかこうにかサヨナラ勝ちでゲームセット。
 場内は蜂の巣を突付いたような大騒ぎで盛り上がる。この光景を見ると「あぁ、相手がホークスじゃなければもっとうれしいんだろうけどなぁ」と考えてしまう。心の中の兄弟対決はどのような結末になっても辛い結果になるものだ。

 ところで、18時55分ころに場内で呼び出されていた藤川ロドリゲスさんは無事にご自宅へ連絡ができたのだろうか?(笑)。


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